講師からのコメント


数学って面白いんですよ。中学までは得意だったのに、高校になって数学で悩まされる人は多くいます。高校数学はよく難しいと言われます。しかし、数学には3つの側面しかないんです。
 一つは、数える。一つは、同一視する。もう一つは自由である。
これらは数の概念から生じています。数はモノを数えるために生じた。そして例えば”7”といえば何でもいい、世の中の7つのものすべてを7という数で同一視する。そしてなんでもいいという部分から自由が生じています。自由とは、拡張するということです。例えば、計算とは、数えることを拡張したものに他なりません。一般化したり拡張したり、次元を勝手に上げたり下げたり出来るのは数学が自由だからです。最先端の数学もギリシャ時代の数学も高校数学もこの3つからなる。数学という複雑な理論体系の中心に単純な規則が存在する。数学とは数の概念を拡張したものに他ならない。このことに気づいたときとても感動したんですよ。数学ってチョー面白いんです。
 私は理論物理学を研究した経験があります。難しい数式をスーパーコンピュータにのせて2、3週間くらい計算せます。とにかく難しかったです。よくわからなかったので物理学者には成れませんでした。とても悔しかったのですが同時にとても楽しい経験でした。激しい数式をひねり回し、コンピュータにのせて結果を見ると、でたらめに見えていた膨大なデータが、単純で美しい規則である対称性を満たしていたとき、万物の真理に触れた、そんな気持ちになったことがあります。
 複雑な事柄の中に規則を見つけ、既に知っている事柄と同一視できたときに美しいが理解できます。これは物理学でも数学でも同じです。物質を対象とする理論系の物理学を一言で表現すれば、考えているシステムの本質を見つけて何か単純なことと類似性を見つけて同一視する、といえます。つまり、単純なモデルを持ち出して難しい現象を簡単に理解していきます。物理学の研究では対応する単純なモデルを見つけ出すことそのものが難しいことがよくあります。しかし、高校数学ではこれば必ず出来ます。それは数学を学習する上でとても有効なことであり、ゲームの様で楽しいでしょう。江口数学教室では大学入試の問題を題材に授業を行います。その際、単純視して同一視することや考え方を拡張することはやや強調して授業していきます。その思考こそ数学だからです。


講師 江口陽亮    岡山大学大学院自然科学研究科数理物理科学専攻博士前期課程修了




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